全国の温泉数
温泉大国と呼ばれる日本ですが、実際には全国にどの位の温泉があるのでしょうか。環境省の平成24年度温泉利用状況によれば、全国の宿泊施設を含む源泉温泉地は3,085を数えます。都道府県別では北海道254、長野県217、新潟県154、青森県143、福島県135、静岡県114、群馬県105、鹿児島県100などが上位に連なります。一方、全国にある源泉の総数は27,219ですが、都道府県別では大分県が4473で全国の16.4%でダントツの1位、鹿児島県2,773が10.18%で全国2位、静岡県2,277が第3位で8.3%、北海道2,225、熊本県1,375、青森県1093、長野県996などが上位を占めます。当然の事ながら両者には相関関係が見られ、源泉数が多い都道府県ほど温泉地が多い傾向があります。
自噴式と動力式の温泉
温泉には自然に湧き出す自噴泉と地下深くからポンプで汲み上げる動力式の温泉があります。泉質は地質や地層によって異なり、自噴か動力(ポンプ)かによる違いはありません。自噴式は地下水が地表に湧き出る様に何の装置も使わずに自然現象として温泉が湧出してきます。まさに自然の恵みともいえる現象で、自然の営みから起こっているので環境に与える影響は基本的にはありません。一方、動力式は井戸を掘って水を汲み上げる様に、地中深くまで掘削してポンプで温泉を汲み上げます。水が不足する地域では生活の為に必要上井戸を掘りますが、温泉はどちらかというと開発やレジャー目的で掘削されます。もちろん、温泉の大きな効能による療養や保養を目的とした温泉の汲み上げもありますが、地下1,000メートル以上にも及ぶ掘削をするには多額の費用がかかるので、多くの場合はその費用を回収できるだけの温泉を利用した商売もしくは営業をする事が前提となります。掘削の費用を回収するためだけでなく利益を上げる事も目指すので、いきおい温泉資源の過剰利用が懸念されます。そうした過剰利用を防ぎ温泉の適正利用を促す為に温泉法が制定されています。
温泉利用者数
環境省の平成24年の温泉利用状況によれば温泉地の宿泊施設数は13,521軒で、年度延宿泊利用人員は124,695,597人となっています。温泉地は年々の温泉ブームによって徐々に増えてきましたが、宿泊施設数はバブル期以降減少しています。最近の傾向としては高度経済成長からバブル期にピークに達した大規模な宿泊施設で温泉を利用するというより、宿泊ではなく日帰りで数多くの風呂とマッサージなどのリラクゼーションを提供する日帰り温泉施設が増えています。宿泊するより短時間で気軽に低価格で温泉に入れる事が人気を呼び、全国各地でそうした健康ランド、スパ、浴場、温浴施設が営業しています。
入湯税
入湯税とは鉱泉源の保護管理施設、衛生管理施設、消防施設等の整備保護と観光振興の為に入湯客に対して課税される目的税で事業者が市町村に治める地方税です。源泉を掘削して温泉施設を建設すれば自治体にとっては税収につながりますが、一方でそうした施設を管理・指導したり、大規模な施設になれば消防・防災にかかるコストも増えてしまいます。入湯税はそうしたコストを事業者に負担してもらう趣旨で制定されましたが、事業者が入湯客から徴収する形でとりまとめて自治体に納税しています。入湯税の額を市町村別に比べてみればどの地域が温泉利用が盛んなのか良くわかります。全国の市町村では神奈川県箱根町が第1位で、続いて札幌市、熱海市、日光市、伊東市、高山市などが上位に連なります。
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