世界の温泉の分布
温泉は日本だけのものではなくもちろん世界中に存在しますが、世界でも満遍なく分布しているわけではなくある特定の地域に集中しています。世界の温泉が集中している地域には火山地帯が展開している場合が多く、特に日本を含む環太平洋地域の火山地帯には温泉が集中しています。具体的には日本、韓国、中国、ニュージーランド、そして南北アメリカ大陸の太平洋岸地域です。また、ヨーロッパ大陸、アフリカ大陸東部、インドにも多数の温泉があり、世界でも特定の地域に集中しています。
温泉と入浴の習慣
日本と世界の温泉を比べる上で最も重要な要素の一つは入浴の習慣の有無です。すなわち、日本では当たり前の入浴の習慣が世界ではあまり見られないのです。日本では温泉や風呂といえば湯に浸かる、つまり入浴するのが一般的なのですが、日本以外では湯に浸かるという習慣があまりありません。英語では温泉は”hot spring”とか”spa”、風呂は”bath”とも呼びますが、こうした呼び名の由来ともなったアメリカ合衆国アーカンソー州のホットスプリング市の温泉、ベルギーのスパ、イギリスのバースでも温泉に浸かる入浴というよりは医療や療養の目的で利用するといった形式が根付いています。また、欧米では温泉に浸かるというより、水着を着て温泉プールに入るという温泉の利用形式が多く、温泉の温度も低い場合が多くなっています。
飲泉の文化
日本で温泉といえば入浴がまず思いつきますが、世界では医療、療養の為に温泉を飲む「飲泉」が浸透しています。医療、療養の為に温泉に入る事はもちろんありますが、それは温泉の成分に触れるもしくは吸収する事を意味しているので、当然ながら温泉を飲むという行為につながってきます。温泉の数も多く、湯量も豊富で高温の温泉が湧出する湿潤な気候の日本では入浴が盛んになりましたが、日本のように入浴の習慣があまりなくて湯量も少ない温泉がある海外では温泉を飲む「飲泉」が普及したというわけです。日本でも「飲泉」は行われていますが温泉を飲めるかどうかは各都道府県の許可制になっており、飲泉可能な温泉では許可の掲示がされています。一方、海外の温泉では医療、治療目的で個々人の患者に専門の温泉医の指導により、泉質や摂取量を処方します。日本の様に不特定多数の一般向けに飲用の許可を出すのではなく、海外では個別の患者の症状に合わせて飲泉が行われているのが通常です。
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