下田温泉は5つの温泉群の総称
「下田温泉」は伊豆半島南端の静岡県下田市内にある蓮台寺温泉、河内温泉、白浜温泉、観音温泉、相玉温泉の温泉群の総称です。温泉群の中でもとりわけ蓮台寺温泉は湯量が豊富で、下田の旅館の多くが蓮台寺から源泉を引いています。
「蓮台寺温泉」は行基上人が伊豆を行脚している道中に天狗から教えられて発見したとされ、下田の市街地から稲生沢川を上った山間地にある静かな温泉地です。蓮台寺にはカーター元米国大統領も訪れたとされる旅館「清流荘」があります。
蓮台寺温泉と吉田松陰
「蓮台寺温泉」は明治維新前の江戸末期の激動の時代に生きた吉田松陰に縁のある地です。伊豆下田は江戸末期にアメリカのペリーが来航した地ですが、そのペリー艦隊が伊豆下田沖に駐留している時に吉田松陰は伴の金子重輔を連れて艦隊に乗り込もうとやってきました。かねてから日本の行く末を案じていた松蔭は、日本の将来の為に外国で学びたいとペリーにアメリカまで連れていって欲しいと頼み込んだのでした。当時は鎖国で幕府の許可がない渡航は密航としてご法度の大罪でしたから、結局は断られてしまい2人は送り返されてしまいます。そんな渡航計画の直前に松陰が訪れていたのが「蓮台寺温泉」です。
吉田松陰らの滞在先としては下田の「岡村屋」（現在の下田屋旅館）が知られていますが、蓮台寺では共同浴場の「上の湯」に入浴し、現地の医師である村山行馬郎の邸宅に匿われる事となりました。密航の計画が明るみに出れば死罪は免れないという状態で人目を憚りながら夜中に温泉に入っていた2人でしたが、村人しか入らない共同浴場に見知らぬ人達が入っていると村山は不審がったといいます。吉田松陰はその頃皮膚病を患っていて湯治の為に蓮台寺に訪れていましたが、松蔭らの大望に共感した村山が自宅の2階に匿う事になったのです。数日は滞在していた松蔭でしたが渡航の時機を逸してはならないと病気が癒えぬまま蓮台寺を去ったのでした。
河内温泉と千人風呂
伊豆下田市の「河内温泉」といえば江戸末期創業の「金谷旅館」の「千人風呂」が有名です。「千人風呂」と呼ばれる通り日本でも最大級の檜風呂で、大正4年（1915年）に先々代の旅館の主人によって造られました。大きさは幅5ｍ、長さ15ｍ、最も深い箇所で1ｍでさすがに千人は入れそうにありませんが、百人程度なら入れそうな巨大な風呂です。「千人風呂」は男性が主に入浴しているのですが、女性も入浴可能な温泉で水着は無理ですがタオルを着用しての入浴はできます。さすがに入りにくいという場合でも女性専用の檜風呂「万葉の湯」があるので安心です。
日帰り入浴・温泉
下田大和館は下田市宇佐美の多々戸浜の海岸沿いにある温泉旅館です。客室全60室の5階建ての旅館の最上階の大浴場から眺めるオーシャンビューは最高です。伊豆急下田駅から車で約5分、多々戸浜入口交差点を海岸方向にあります。和風大浴場「遥都（まほろば）」には和風山頂露天風呂「雲母」、内湯「仙楽」石風呂、檜風呂「鼓舞（こぶ）」があり、洋風大浴場「多々戸ウィンズ」には内湯「WAVE」大展望風呂、ジャグジー、セーリングスパ「マーメイド」があります。昭吉の湯は下田市西部の山奥、下田市横川、観音温泉に行く途中にある温泉です。国道414号線から稲生沢川沿いの県道15号線を走り、観音温泉方面の勾配がきつく狭い山道に入ります。観音温泉手前で昭吉の湯に左折する道があります。観音温泉に近いとあって泉質は似ており、ph9.5の強アルカリ性の無味無臭、無色透明の温泉です。温泉は飲泉も可能で、温泉水を商品化したミネラルウォーター「いずみず」もあります。温泉は屋根が付いた伊豆石造りの露天風呂と内湯がありますが、休憩室の利用は別料金となっています。下田ベイクロシオは下田市柿崎の客室数42の温泉旅館です。最上階の７階に温泉があり、展望風呂、庭園風呂、露天風呂があって、展望風呂からは下田湾が一望できます。黒船ホテルは下田市柿崎の135号線、海岸沿いにある温泉旅館です。下田ベイクロシオの西にあり、同じく大浴場からは下田湾が一望できます。客室は全室海側でオーシャンビューが望めて、全天候型のドームプールもあります。黒船ホテルの名前通り、ホテル前からはかつて下田に来航した黒船をイメージした黒船遊覧船「サスケハナ号」が出発します。黒船遊覧船を見ながら下田湾を一望できる温泉に浸かる事もできます。下田聚楽ホテルは黒船ホテルの東方、下田市柿崎の国道135号線沿い、下田港の東の海岸沿いにあるホテルです。全51室海側でオーシャンビューが望め、10室は専用露天風呂付です。日帰り入浴では檜造りの内湯と下田湾が一望できる露天風呂が利用できます。
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