指宿温泉(鹿児島県指宿市)

薩摩半島東南端の温泉

「指宿温泉」は薩摩半島東南端の錦江湾沿いの地帯に湧き出る鹿児島県指宿市の温泉です。源泉総数は500~1,000あるといわれており、1日あたりの温泉湧出量は約12万トン、「砂蒸し温泉」で有名な「摺ヶ浜温泉」、「弥次ヶ湯温泉」、「二月田温泉」などを含めた温泉郷です。九州大陸最南端の指宿市は年間平均気温も高く気候が穏やかな事から「東洋のハワイ」、「日本のハワイ」とも称されています。豊富な温泉を利用して指宿市は観光温泉地「指宿温泉」として全国から観光客が訪れており、年間300万人前後の観光客、年間80~90万人ほどの宿泊客が訪れています。


Ibusuki from Kaimon-dake / scjody

 

「指宿」の由来

「指宿温泉」の「指宿」は「いぶすき」と読みますが、中々馴染みがない読み方なのでわからない方も多いのではないでしょうか。「指宿(いぶすき)」の由来は指宿市指定文化財として光明禅寺に保管されている「方柱板碑」にあります。「方柱板碑」には「天文十二年湯豊郡」と刻まれており、天文2年(1543年)には「湯豊宿(ゆぶしゅく)」という地名があった事がわかります。天文2年(1543年)といえば1567年には織田信長が足利義照を奉じて京へ入った前の戦国時代であり、今から400年以上も前から豊かな温泉地「湯豊宿」として名を知られていたというわけです。「湯豊宿(ゆぶしゅく)」が「指宿(ゆびしゅく)」となり、訛って「指宿(いぶすき)」となったと思われます。

 

「砂蒸し風呂」


Aerial view of sandbath / dlisbona


Sandbathers at Ibusuki / dlisbona

「指宿温泉」といえば「砂蒸し風呂」を抜きにして語れません。指宿市の海岸沿いには「摺ヶ浜(すりがはま)温泉」と呼ばれる温泉地帯があり、海岸沿いの温泉で温められた砂をかぶって「砂蒸し」を体験できます。「摺ヶ浜温泉」の砂浜に温泉があるのは指宿の高所から地下を流れてくる温泉が海岸まで行き着いて砂浜を温めているからです。泉源は九州最大の湖である「池田湖」や「鰻池」の水が地下を通って「摺ヶ浜」で砂浜で海水と合流し、一帯の火山性の熱源の地層によって温められて熱い砂蒸し温泉として登場するわけです。鹿児島県では火山性の温泉では「霧島温泉」と「指宿温泉」が有名で、「摺ヶ浜」一帯では砂浜を掘れば「砂蒸し」が利用できるというわけです。「砂蒸し」は特別な掘削技術も設備投資も不要な事から相当の歴史のある温泉利用法で、「摺ヶ浜」では元禄16年(1703年)から「砂蒸し湯治」として利用されていた記録があります。また、天保14年(1843年)に編纂された「三国名勝図絵」ではその効能が紹介されており、江戸時代から既に「砂蒸し」の湯治や療養が確立していた事が窺えます。

 

日帰り温泉

指宿温泉には数多くの日帰り入浴ができる施設があります。ヘルシーランド露天風呂「たまて箱温泉」、指宿こころの湯、殿様湯、いぶすき元湯温泉、休暇村指宿、村之湯温泉、区営鰻温泉、家族温泉野の香、山川砂むし温泉「砂湯里」などです。ヘルシーランド露天風呂「たまて箱温泉」は口コミサイトトリップアドバイザーの「行ってよかった日帰りスパ&温泉施設」で3年連続全国1位に輝いた事がある温泉です。指宿市山川伏目地区の竹山の麓にある総合健康ランドで、10haの敷地に温泉プール、温泉保養館、トレーニングルーム、多目的広場、レストラン「地熱の里」などがあります。肝心の露天風呂は2種類あって、一方は開聞岳と東シナ海が見える和風露天風呂、もう一方は竹山などが見える洋風露天風呂です。2種類の露天風呂は奇数偶数日で男女入替制となっています。晴天の日には対岸の大隈半島、屋久島、竹島、硫黄島も見えます。指宿こころの湯は塩化物泉の天然温泉とナノテクノロジー水を使用した総合リラクゼーション温泉施設です。露天風呂、内湯、炭酸檜風呂、寝転び湯、ジェットバス、石釜風呂、貸切家族風呂、ゲルマニウム温浴、フィンランド式サウナ、女性用泥パック湯、岩盤浴など多種多様な施設があります。隣には全69室の宿泊施設「こころの宿」があって、宿泊者は無料で温泉を利用できます。二日田温泉は別名殿様湯と呼ばれ、薩摩藩主島津氏が代々利用した浴槽跡がある事で有名です。国道226号線を鹿児島方面へ北上したJR二日田駅付近にあります。天保2年(1831年)、薩摩藩主27代目の島津斉興が温泉別荘を摺ヶ浜から当地へ移したのが始まりで、当時の浴槽跡がそのまま指宿市指定文化財として保存されています。実際に入浴できるのは白い建物の中にある浴場で、中には5~6人ほど入れる浴槽には丸の中に十字が描かれた島津家の家紋が付けられています。いぶすき元湯温泉は指宿温泉発祥の湯といわれる市営の共同浴場です。半世紀以上の歴史があり、木造建築の湯屋は風情があります。JR指宿駅から徒歩20分、車で5分で砂むし会館砂楽の近くにあります。男女別の内湯があって、それぞれ熱い湯とぬるめの湯の2つの浴槽があります。休暇村指宿は霧島屋久国立公園内にある温泉宿泊施設ですが、立ち寄り入浴もできます。大浴場「知林の湯」、貸切半露天風呂「癒湯(ゆゆ)」、足湯「癒流(ゆる)」などがあり、砂蒸し温泉「癒砂(ゆさ)」も人気です。村之湯温泉は地元では「むらんゆ」と呼ばれる明治15年創業、文久2年(1863年)発祥の歴史のある共同浴場です。いかにも昔の共同浴場らしく鄙びた雰囲気が漂っており、それがまた風情があります。浴室内には2つの温度の異なる浴槽があり、浴槽の底から温泉が湧きでています。区営鰻温泉は指宿市西方の鰻池の湖畔にある共同浴場です。指宿で唯一の単純硫黄泉で、明治34年(1901年)に公衆浴場が開設されました。「西郷どんゆかりの湯」とも呼ばれ、明治7年(1874年)には西郷隆盛が1ヶ月滞在したともいわれています。現在の木造建築の湯屋は平成9年に完成し、中にはタイル張りの浴室に小判型の浴槽があります。当地は鰻と呼ばれる集落で地熱が高くて温泉も高温であり、集落の各所で湯煙が濛々と立ち上がっています。民家の庭先には高温の地熱を利用したスメと呼ばれるかまどがあり、昔からスメを利用して野菜などを調理しています。鰻温泉の駐車場にもスメがあって、受付で許可をとれば利用する事ができます。鹿児島ならではの薩摩芋や温泉ならではの温泉卵を作る事もできます。時間がなければ受付で温泉卵を購入する事もできます。

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