別所温泉(長野県上田市)

信州最古の温泉

「別所温泉」は千曲川に沿った上田盆地の南西の夫神岳山麓の長野県上田市の塩田平の温泉地です。日本最古、信州最古の温泉ともいわれ、開湯は第12代景行天皇の時代に日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征している際に発見したのがはじまりとされています。「別所温泉」は別名「七久里の湯」ともいわれており、これは日本武尊が別所温泉南西の保福寺峠にて仙人の化身とされる老人に、「山中に七つの湯が湧き出て、七つの苦を助ける」と聞いて七つの湯を見つけたのが「七苦離の湯(七久里の湯)」のはじまりともいわれています。「別所温泉」は夫神岳を源流とする愛染川が流れ、中心の北向観音を囲むように温泉街が広がっています。また、平安時代の清少納言の「枕草子」には「湯は七久里の湯、有馬の湯、玉造の湯」との記述があり、「七久里の湯」は「別所温泉」を指しているとされています。平安時代末期には平家討伐の為に挙兵した木曽義仲が行軍の途中で立ち寄り、度々入浴したといわれます。戦国時代には上田城城主の真田氏と家臣団が入浴したり、江戸時代には上田藩主と家臣団が入浴したといわれています。

「別所」の由来

「別所温泉」の「別所」という地名は北条氏の別院(別荘)という意味から名づけられたといわれています。鎌倉時代に幕府執権の補佐役となる連署であった北条義政が信濃守護職として赴任し、塩田平の塩田荘に居を構えました。以後、塩田平は塩田北条氏が鎌倉幕府の滅亡まで三代に渡って治め、塩田平の発展に貢献しました。北条氏が鎌倉の文化を持ち込み別所の繁栄に貢献した事から、「別所温泉」は「信州の鎌倉」とも呼ばれる様になりました。

 

大湯

「大湯」は「別所温泉」にある共同浴場の一つで平安時代末期の武将木曽義仲にゆかりのある温泉です。平家討伐の為に挙兵した木曽義仲が、上洛を目指して丸子城に駐留していた際に入浴したと伝えられ、愛妾の葵の前の療養の為に造らせた湯ともいわれており、「葵の湯」ともいわれています。後に塩田平を治めた北条氏に利用されて「北条の湯」と呼ばれたり、大炊御門大納言が愛用するようになって「大湯」と呼ばれるようになりました。吉川英治の小説「新平家物語」には木曽義仲が葵御前を連れて「大湯」に入浴した様子が描かれています。「大湯」は現在でも立ち寄りで入浴できる共同浴場として営業しており、北向観音の東の温泉街にある三層の瓦屋根造りの立派な建物です。入口の左手前には「葵の湯」と刻まれた石碑と飲泉所があります。

 

大師湯

「大師湯」は同じく「別所温泉」の共同浴場の一つで比叡山延暦寺の座主、円仁慈覚大師にゆかりのある温泉です。平安時代の天長2年(825年)、北向観音建立の為に訪れていた慈覚大師が好んで入浴し、後に浴室に大師の像を据え祭った事から「大師湯」と呼ばれる様になりました。また、北向観音に参詣する籠の者が利用した事から「籠の湯」とも呼ばれました。千年以上の歴史がある共同浴場として現在も営業しています。北向観音のそばにあるので、北向観音の参詣の折に寄る事もできます。大師湯は専用の駐車場がないので、観音下駐車場など有料の駐車場を利用する必要があります。浴場は4~5人サイズの湯船がある内湯のみで、床も湯船もタイル張りになっており、休憩所はなく、シンプルな造りでいかにも共同浴場といった感じです。入浴料は大人も子供も150円で、正面入口の券売機で入浴券を購入します。営業時間は午前6時から午後10時。

 

石湯


別所温泉(8) / Kuruman

「石湯」も同じく共同浴場の一つで「真田幸村の隠し湯」ともいわれる真田幸村ゆかりの温泉です。岩の間から湧き出す温泉として、戦国時代には真田一族とその家臣団に愛用されました。池波正太郎の歴史小説「真田太平記」では幸村や家臣が「石湯」に入浴する場面が描かれています。幸村はここで向井佐平次とはじめて会い、又女忍者のお江と結ばれたともされています。「石湯」建物入口前の石碑に刻まれている「真田幸村公隠しの湯」の文字は池波氏の筆によるものです。営業時間は午前6時から午後10時までで、第2、第4火曜日が休みです。入浴料は150円で正面入口の券売機で購入します。

 

あいそめの湯

「あいそめ」の湯は元は1972年(昭和47年)にオープンした「相染閣」が老朽化に伴い、2008年に移転新築して改名した上田市営の共同浴場です。別所温泉にある共同浴場として地元民のみならず、観光客にも好評で、移転から8年経った2016年には入館者200万人を達成しています。営業時間は午前10時から午後10時までで、入浴料は大人500円、小中学生は250円。男女別の内風呂、露天風呂と貸切の介護専用浴室、足湯、別料金で岩盤浴が利用できます。岩盤浴の利用は16時までで、16時以降は入浴のみの利用となっています。

 

柏屋本店・臨泉楼柏屋別荘

柏屋本店は別所温泉を流れる湯川沿いの北向観音の隣にある創業明治元年(1868年)の老舗旅館です。客室数15の書院造の小さな旅館ですが、皇族も宿泊した事がある伝統と歴史がある旅館です。男女別の岩造りの内湯と檜造りの露天風呂、貸切風呂があります。日帰り入浴は午前11時から午前3時までで、中学生未満は入館不可となっています。柏屋本店の近くにある臨泉楼柏屋別荘は創業明治43年の客室数20の老舗旅館です。木造4階建ての旅館は元は上田藩の出屋敷でしたが、造り酒屋を経て温泉宿となりました。ちなみに出屋敷とは江戸時代に新田開拓などでできた新しい農村部落の事です。宿泊客と日帰り入浴客は別々の入口になっており、日帰り入浴の場合は11:30~15:00までの利用となっています。浴場には男女別の畳敷きの大浴場、露天風呂、2つの貸切風呂と足湯「健の湯」があります。

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