霧島温泉郷(鹿児島県霧島市)

霧島連山の麓に湧き出る温泉群

「霧島温泉郷」は天孫降臨神話が残る霧島連山の中の高千穂峰の一帯に湧き出る鹿児島県霧島市の温泉です。温泉郷は丸尾温泉、湯之谷温泉、林田温泉、硫黄谷温泉、関平温泉、新湯温泉、栗川温泉、殿湯温泉の八温泉の他、明礬温泉、栄之尾温泉、湯之野温泉、塩湯温泉、手洗温泉、山之城(やまんじょ)温泉、鉾投(ほこなぎ)温泉、野々湯温泉、目の湯温泉、横瀬温泉、栗野岳温泉、金湯温泉、銀湯温泉、太良温泉を含みます。尚、「霧島温泉郷」は霧島神宮周辺の温泉「霧島神宮温泉」と共に昭和34年に国民保養温泉地に指定されています。


Mt. Kirishima from above / Jun Seita

 

丸尾温泉

「丸尾温泉」は霧島連峰の麓に広がる霧島市牧園町にある霧島温泉郷の中心的な温泉です。文政2年(1819年)に横屋権太によって発見されたのが始まりとされています。当時はこじんまりした湯治場として近隣の住民達に利用されていましたが、大正6年(1917年)に初めて温泉旅館「丸屋旅館」が営業を開始ました。昭和12年(1937年)には鹿児島県立霧島温泉療養所が開設されました。与謝野晶子や斉藤茂吉といった文化人も訪れ、鹿児島の奥座敷、霧島観光の拠点として発展してきました。現在は国道223号線沿いに10数軒の旅館やホテルが並び、霧島の特産品や郷土料理を扱う「霧島温泉市場」をはじめとした土産物店や飲食店で賑わっています。温泉地の所々には豊富な湯量を物語る様に白い湯煙が立ち上っているのが見えます。

 

林田温泉

「丸尾温泉」から山を北上した地に広がる「林田温泉」は昭和4年(1929年)に林田産業交通の林田熊一氏によって開発されました。霧島連峰西側の標高約800メートルの地、「栄之尾温泉」に隣接する温泉です。林田氏によって開発されたので「林田温泉」と呼ぶのですが、開発された温泉があるホテルはその後「いわさきコーポレーション」の手に移ります。現在は「林田温泉」と呼ばれたホテルは「霧島いわさきホテル」と名を変えて営業しています。「霧島いわさきホテル」には2010年に放送されたNHK大河ドラマ「龍馬伝」で撮影された霧島温泉「緑渓湯苑」があります。坂本龍馬はかつて妻のおりょうと日本で初めての新婚旅行をしたといわれており、その新婚旅行で訪れたのが「緑渓湯苑」なのです。「緑渓湯苑」は元々は「栄之尾温泉」の温泉なのですが、「いわさきコーポレーション」に経営が移る際に一緒に引き継いだとの事です。幕末の動乱の中で負傷し、治療に訪れていた龍馬とおりょうの入った温泉に浸かる事ができるとは何とも贅沢な気分になれます。「緑渓湯苑」には8つの露天岩風呂と2つのプールがあり、夕方と夜間の1日2回、ホテルからの送迎車で宿泊者のみ利用できるようになっています。


wild_onsen / vera46

 

栄之尾温泉

「栄之尾温泉」は現在は露天風呂「緑渓湯苑」として「霧島いわさきホテル」の施設として利用されています。標高約800メートルの霧島山の中腹の渓谷沿いに湧く温泉は山林に囲まれた秘湯として古くから高い人気がありました。「栄之尾温泉」は延享元年(1744年)、山中で迷ってしまった安藤仲兵衛国広によって偶然発見されたのがはじまりとされています。その後、薩摩藩主の島津斉彬や島津忠義が入湯し、島津忠義は文久元年(1861年)に本陣を開設しています。病気で療養中だった薩摩藩家老の小松帯刀も度々滞在しており、慶応2年(1866年)には坂本龍馬夫妻が訪れています。

硫黄谷温泉

前述の小松帯刀を訪問した際に坂本龍馬夫妻が宿泊したのが硫黄谷温泉の霧島館、現在の霧島ホテルだといわれています。硫黄谷温泉は現在では霧島ホテルのみが引き湯しているのですが、1軒のホテルであるにも関わらず、豊富な湯量を利用してとてつもなく大きな温泉施設を運営しています。ホテルには庭園大浴場なるものがあり、4種類の泉質(硫黄泉、明礬泉、塩類泉、鉄泉)、14の源泉、1日8万石、1400万リットルの湧出量がある温泉です。1日1400万リットルとは途方もない量ですが、1分間にすると1万リットル、ドラム缶50本分の湯が湧出している事になります。風呂の種類も豊富で混浴とされるフリーゾーンには立ち湯、打たせ湯、赤松風呂、ひのき風呂、黄金風呂、みょうばん風呂、長寿風呂、寝湯、薩摩石風呂、女性専用ゾーンには晶子の湯、美白の湯、子宝の湯、不老の湯、長老風呂、打たせ湯、姫湯、サウナ、水風呂、男性専用ゾーンには露天風呂鉄幹の湯、殿湯、サウナ、水風呂があります。中でもフリーゾーンの立ち湯はなんと奥行きが25mもあり、まるでプールが温泉になったようです。千人風呂と称しても申し分ないほどの大きさで、有り余るほどの豊富な温泉湧出量のおかげといえます。ホテルで最大の名物ともいえる立ち湯は混浴のフリーゾーンのなっていますが、宿泊利用の場合は夜間に女性専用時間があって女性でも利用しやすくなっています。

 

関平温泉

霧島温泉郷の南西にある関平(せきひら)温泉は霧島の名水として名高い関平鉱泉の隣にある温泉です。関平温泉は公衆浴場となっていて、一般用の男女別内湯と貸切風呂が2つあります。内湯には無色透明の関平温泉と褐色の新床温泉の2つの源泉が別々の風呂で楽しめます。施設前には1832年(天保3年)から飲み継がれているといわれる関平鉱泉をペットボトルに詰めて販売しています。

新湯温泉

新湯温泉は標高920mの新燃岳の麓にある民営の国民宿舎新燃荘にある温泉です。新湯温泉は1995年に発表された南日本新聞の「日本の秘湯番付」で西の大関に挙げられており、年間4万人が訪れる人気の温泉です。ちなみに西の横綱は屋久島の平内温泉、東の横綱は北海道の滝の湯、東の大関は新潟県の蓮華温泉です。新燃荘は新燃岳が噴火した影響で2011年から休業していましたが、2012年の夏から営業を再開しています。高濃度の硫黄泉は成分が濃すぎるので、入浴する際には30分が限度と注意されています。長湯すると硫化水素中毒になる危険性があるので気をつけましょう。

殿湯温泉

殿湯温泉は霧島温泉唯一の展望温泉と称される霧島観光ホテルにある温泉です。4階の展望大浴場では晴れれば鹿児島湾や桜島までが見渡せる上に、朝夕の景色は格別です。又、桜島の溶岩を使用した霧乃溶岩露天風呂、貸切露天風呂、源泉蒸し風呂「新燃」、足湯などがあります。

栗川温泉

栗川温泉は丸尾温泉南の丸尾の滝へと続く天降川沿いにある牧園町高千穂の一軒宿の温泉です。温泉の歴史は古くて、天保6年(1835年)に牧彦八が発見したのがはじまりといわれています。宿の霧島もみじ谷清流荘には硫黄泉と明礬泉の2種類の自家源泉があり、露天風呂、内湯、足湯、寝湯などがあります。客室には露天風呂付、足湯付き、寝湯付など様々なタイプがあります。

湯之谷温泉

湯之谷温泉は牧園町高千穂の一軒宿「湯之谷山荘」にある温泉です。創業昭和15年(1940年)の宿は昭和の鄙びた湯治場の宿といった趣で、旅館部と湯治客向けの自炊部があります。宿は自家源泉を5本所有し、温泉の総湧出量は毎分480リットルで、泉質は硫黄泉と炭酸泉の2種類です。大浴場には男女別に各3つの浴槽があって、硫黄泉、炭酸泉、硫黄泉と炭酸泉の混合泉の浴槽となっています。又、宿泊者は無料で貸切の露天風呂が利用できますが、日帰り客でも追加料金を払えば利用できます。

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