八甲田大岳の西麓に湧く温泉
「酸ヶ湯温泉」は青森県青森市南部の十和田八幡国立公園北部、八甲田の大岳西麓の標高約900メートルの高地に湧く温泉です。
ブナやトドマツの森林、湖沼や湿原に囲まれる山奥の温泉で、観測史上最大の積雪を記録した豪雪地帯にあります。豊かな自然を背景に湖沼・渓流散策、紅葉見学、山岳スキーなども盛んに行われています。
「酸ヶ湯温泉」は青森市街地からは離れており、青森駅からはバスで約1時間かかります。
酸ヶ湯温泉の発祥・由来
酸ヶ湯温泉の開湯は300年以上前の貞享元年(1684年)で、現在の青森市内の横内村に住んでいた猟師の長内佐ヱ門四朗が鹿に傷を負わせたが山中に逃げられてしまいました。
その後、同じ鹿を見つけましたが、その鹿はすっかり傷が癒えて俊敏に走り去ってしまって捕える事はできませんでした。不思議に思った長内は付近を探してみると、鹿が傷を癒したと思われる効能の高い温泉が見つかったのです。
その温泉は「鹿湯(しかゆ)」と名付けられ、地元の人達に利用されるようになったとの事です。
「酸ヶ湯温泉」の名前の由来は「鹿湯(しかゆ)」が「酸ヶ湯(すかゆ)」に変化したものだといわれています。
温泉の泉質はph1.89ともなる強酸性の硫黄泉で、「鹿湯(しかゆ)」が次第に変化して「酸ヶ湯(すかゆ)」と呼ばれる様になったと考えられています。
尚、「酸ヶ湯温泉」は昭和29年(1954年)に四万温泉、日光湯元温泉と共に国民保養温泉地第1号に選ばれています。
酸ヶ湯温泉旅館
「酸ヶ湯温泉」には300年の歴史がある一軒宿「酸ヶ湯温泉旅館」があります。
温泉地に一軒しかないない旅館ですが、収容人員は約400人の巨大旅館で、総ヒバ造りの大浴場「千人風呂」は160畳もの浴室の中に「熱の湯」、「冷の湯」、「四分六分の湯」、「湯滝」と5つの浴槽があります。
5か所ある源泉の内、4つの源泉が「千人風呂」にあって、あと1つは男女別の内湯「玉の湯」に注がれています。
「千人風呂」は混浴となっていますが、女性だけ利用できる時間帯もあり、また女性用に不織布を使った入浴用の温泉着を販売しています。
強酸性の硫黄泉は酸味が非常に強いですが、白濁していて湯に入ってしまえば見えませんが、女性の方はやはり躊躇してしまうかもしれません。
そうした状況を勘案してか、「千人風呂」には入口から浴槽まで区画に仕切りがしてあったり、浴槽内に男女別のエリアが指定してあったりします。
ふかし湯「まんじゅうふかし」
「酸ヶ湯温泉旅館」から徒歩10分ほどの所には「まんじゅうふかし」と呼ばれる「ふかし湯」があります。
野外に壁がなくて屋根があるのみの簡素な作りで、真ん中に箱形の木製ベンチがあって、服を着たまま腰掛けて体を温める。
ベンチの箱の中には温泉が流れており、下半身から体を温めてくれます。
いつでも利用できますが、電灯はないので日中に利用した方が良いと思われます。
ちなみに「まんじゅう」は下半身の事らしく、饅頭の事ではありません。
お尻を乗せて蒸かす様にするのでそうした名前が付いたのかもしれません。
近くには90℃前後の熱湯が沼の底から噴き出している「地獄沼」があり、年中湯気が立ち上っています。
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