高温の湯煙が上がる温泉地
「下賀茂温泉」は静岡県賀茂郡南伊豆町の青野川沿いにある山間の温泉地です。100℃にも及ぶ高温の源泉が多量に湧出する高温の温泉地で、温泉利用だけでなく温泉熱を利用した農業も行われています。源泉の数は50以上ともされ、湯量は毎分4千リットルで、泉質はナトリウム・カルシウム・塩化物泉です。
下賀茂温泉の歴史
開湯は永禄年間(1558~1570)とされ、傷ついたトビが温泉で傷を癒しているのが発見されたのがはじまりとも伝えれています。また、南伊豆町にある「慈雲寺」の「慈雲寺創設縁起」によれば、永禄年間に地元住民が砂の下から自噴する温泉の周りを囲んで湯船を造り、温泉に浸かっていたとの記録があります。本格的な温泉の開発は大正時代になってからで、大正9年(1920年)の岩崎芳太郎氏によって「慈雲寺」崖下に泉源を掘り当てた事に始まります。技術の発達によってボーリングによる温泉掘削が可能になった事で泉源の開発は急速に進み、農業利用への需要にも後押しされて源泉の数は増えていきました。開湯から400年以上が経って現在では、温泉街のあちこちから湯煙が立ち上っています。
温泉の農業利用
高温の温泉が大量に湧出する「下賀茂温泉」では温泉は入浴だけでなく農業にも利用されています。現在では温泉熱を利用した果物や花卉栽培が盛んで、マスクメロンやぶどう、そしてランなどが温室で栽培されています。温室で室温を管理するには燃料が欠かせませんが、掘削した高温の温泉を利用する事でコストを削減し、高品質の農産物を出荷しています。代表的な農産物は温泉による温室栽培で育てた「さとう温泉メロン」で、糖度が高くてジューシーな最高級メロンです。
日帰り温泉 銀の湯会館
南伊豆町下賀茂の銀の湯会館は下田市の西、南伊豆町の国道136号線の下賀茂交差点を県道121号線へ入り、下賀茂熱帯植物園方面へ曲がった先の奥にあります。伊豆急下田駅から下賀茂方面行きのバスで約20分、バス停「下賀茂熱帯植物園」下車して徒歩約5分の場所になります。青野川沿いにある町営日帰り温泉です。入口には木造の高い温泉井戸があって目印になります。駐車場は60台。泉質はナトリウム‐カルシウム塩化物泉、源泉温度100℃。源泉名は銀の湯で施設名の由来となっています。施設には男女別の内湯、露天風呂、サウナ、打たせ湯があり、果実や薬草入りの「四季の湯」や熱帯植物に囲まれた「南国風呂」といった入浴施設の他、休憩室や食事処があります。
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