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関東地方

草津温泉(群馬県吾津郡草津町)【歴史と開湯伝説】

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日本の代表的温泉「草津の湯」

群馬県吾津郡草津町の「草津温泉」は活火山である草津白根山の地下水に火山ガスが合成してできた源泉が元となっている温泉で、自然に噴出する温泉の中で日本最大の湧出量を誇ります。

「湯畑」、「白旗」、「西の河原」、「地蔵」、「煮川」、「万代鉱」の6つの主要源泉で毎分1万4700リットルの湧出量、大小合わせて100近く源泉があるといわれる草津温泉全体では毎分3万6千リットルの湧出量があります。

自噴する温泉として長らく利用の歴史があり、大和時代の日本武尊、奈良時代の僧行基や鎌倉時代の源頼朝の開湯伝説もあります。

湧出温度も摂氏50~90度程度と高いので、自噴で泉温も高く湧出量も高いと三拍子揃った名湯です。

自噴なので高度な掘削技術も必要なく、泉温は高いので沸かす必要もなく、湧出量も多いので加水する必要もないので古くから利用されてきた理想的な温泉というわけです。

草津温泉
Hot spring at Kusatsu, Japan / 草津温泉 / by Aiko Konishi

日本三名泉&日本三大薬泉

群馬県の「草津温泉」は江戸時代の徳川幕府に仕えた儒学者林羅山が自身の詩文にて、兵庫県の「有馬温泉」、岐阜県の「下呂温泉」と並ぶ天下の三名湯として紹介されており、現在でも「日本三名泉」の一つと呼ばれています。

実際にはこれら三湯は室町時代の禅僧万里集九(ばんりしゅうく)の詩文集「梅花無尽蔵」にて既に日本の名湯として紹介されており、古くからその効能の高さが知られていました。

江戸時代に作られた「温泉番付」でも西の大関「摂州有馬の湯」と肩を並べる東の大関「上州草津の湯」として紹介されています。

また、効能の高さは随一として有馬温泉、新潟県の松之山温泉と共に「日本三大薬湯」の一つとされています。

草津温泉
草津温泉 / by Skyriser / Lix

草津温泉の源泉

「草津温泉」には大小100以上の源泉があるといわれていますが、「湯畑」をはじめとする「白旗」、「西の河原」、「地蔵」、「煮川」、「万代鉱」の6つの主要源泉があります。

6つの源泉で草津温泉全体の約4割の湧出量を占めており、市街地には30以上の源泉があります。

「湯畑」源泉は温泉街の中心部に位置する草津温泉の代表的な源泉です。

毎分4千リットルの湧出量がある草津最大の源泉で、高温の温泉が7つの木樋を伝って温度が下げられ、湯の花が採取され、温泉街の各宿と共同浴場にも配湯されています。

湯畑で熱々の温泉の湯気が立ち込め、硫黄の匂いがし、温泉が滝のように流れる湯滝の光景はまさに草津温泉の魅力を表しています。

湯畑の周囲は公園になっていて散策もできるだけでなく、期間限定で夜間はライトアップもされていて幻想的な光景を見る事ができます。

草津温泉湯畑
Kusatsu Spa : Yubatake / by tsuda

開湯伝説

「草津温泉」にはいくつかの開湯伝説があり、一番古いものでは大和時代にまで遡ります。

大和時代に日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東征の折、大和国に帰る際に草津白根山に立ち寄り、温泉を発見したというものです。

日本武尊は湯気の上がる温泉の傍の石に腰掛けて足を湯に浸けたといわれており、その石は「御座石(ございし)」と呼ばれています。

さらに、奈良時代には全国で仏教を広めていた僧行基が草津にて祈祷した折に温泉が湧き出したという伝説があります。

行基が開山したとされる草津山光泉寺には「温泉奇功記」という書物があり、行基が草津で仁恵の気が湧き出る場で祈祷したら温泉が噴出したとの記述があります。

また、鎌倉時代の建久4年(1193年)に源頼朝が狩りの最中に浅間山に立ち寄り、白煙が立ち上る温泉を発見したとされる説もあります。

頼朝が発見して浸かったとされる源泉には頼朝が腰掛けたとされる石があり「御座の湯」と名づけられましたが、現在でも「白旗湯畑」の源泉として湧出しており、その源泉は共同浴場「白旗の湯」に使用されています。

草津温泉の歴史

大和時代から鎌倉時代には開湯したとされる草津温泉ですが、開湯以降も数多の歴史上の人物が訪れています。

室町時代の文明4年(1472年)には浄土真宗本願寺の蓮如法主が入湯し、安土桃山時代には同じく顕如法主、前田利家、豊臣秀吉の妹の朝日姫、養子の英次が入湯し、秀吉は徳川家康に湯治を勧めたとも伝えられています。

江戸時代の享保2年(1717年)には八代将軍の吉宗にお汲み上げの湯として温泉を江戸まで運んでいます。

俳人の小林一茶は江戸から草津への道中を「草津道の記」に記し、「湯けむりにふすぼりもせぬ月の貎」との俳句を詠っています。

又、「弥次さん、北さん」で知られる「東海道中膝栗毛」を書いた十辺舎一九はその続編となる「上州草津温泉道中続膝栗毛十編」にて草津の様子を記しています。

温泉名物「湯もみ」

草津温泉の湯もみ
草津温泉の湯もみ / by Duke Yuin

「草津温泉」といえばテレビや雑誌などで良く紹介されるのが「湯もみ」です。

「湯もみ」とは高温の温泉が湧出する草津温泉で古来より行われている独自の風習で、温泉の中に大きな木の板の先端を差し込んでかき混ぜながら泉温を下げる方法です。

温泉に水を入れればもちろん温度は下がりますが、温泉が薄くなってしまい成分も薄れてしまいます。

草津温泉の源泉の温度は50~90度と高温なので、湯畑源泉では7つの木樋に通して泉温を下げていますが、「湯もみ」では手作業で音頭を取りながら湯を冷ましているのです。

現在では観光用に湯畑の正面にある「熱の湯」で、「草津よいとこ一度はおいで」の歌詞でお馴染みの「湯もみ唄」を歌いながら木の板で湯を冷ます「湯もみと踊りショー」が行われています。

実際に「湯もみ」をしてみたい方には「湯もみ体験」も行われています。

どちらも料金と時間を確認してぜひ足を運んでみたいものです。

時間湯

時間湯とは草津温泉で江戸時代の幕末から明治時代にかけて確立された独自の伝統的入浴法です。

現在は草津町内の地蔵の湯と千代の湯の共同浴場で、湯長の指導の下に行われています。

源泉をそのまま利用して入浴する事から各種効能が期待できます。

本格的な時間湯は何度も長期間に渡って湯長の指導下で行われますが、千代の湯では1回のみの時間湯の体験入湯も可能です。

体験内容は神棚に参拝してから、幅30㎝、2mほどの長尺の板を湯船に差して草津節、草津小唄、草津揉み歌などで音頭を取りながら湯を揉む「湯揉み」をして、手桶で頭に何度も湯をかける「湯かぶり」をし、いざ湯長の合図で一斉に入浴して掛け声しながら3分間浸かる「3分間入浴」をしたら、湯から上がって体中に「蒸しタオル」を巻いてじっくりと汗を出します。

日帰り入浴

草津温泉には宿泊客が多いですが、もちろん日帰り入浴も可能な施設が沢山あります。

湯畑から徒歩5分、駐車場完備の大滝の湯では合わせ湯と呼ばれる温度の異なる温泉を巡って入浴できます。

湯畑の目の前には湯畑の湯を引いた檜造りの風呂がある松村屋があり、湯畑から西の西の河原公園にある西の河原露天風呂は地域最大の500平方メートルの巨大露天風呂が自慢です。

同じく西の河原公園内にある草津ホテルには露天風呂が2つ、内湯が3つあります。

又、草津ハイランドホテル草津温泉館には露天風呂、洞窟風呂、気泡湯など6種類の風呂があります。

他には草津温泉ホテル&スパリゾート中沢ヴィレッジテルメテルメには通常の温泉と共に温泉プールもあります。

内湯めぐり

草津温泉では15軒の旅館で構成される「和風村」で「内湯めぐり」なるものを行っています。

草津には数多くの旅館がありますが、それぞれが個性や特徴がある風呂を備えています。

一部では日帰り入浴も可能ですが、そのほとんどは宿泊客のみしか利用できないのが通常です。

しかし、草津に温泉に入りに来た者としてはやはり他の旅館の温泉も気になるもので、そうした願いから昭和59年に生まれたのが「和風村内湯めぐり」です。

和風村に加盟している旅館のいずれか一つに宿泊すれば、宿で「湯めぐり手形」を購入する事で他の加盟旅館の内湯に日帰り入浴ができます。

手形を購入したら最初は草津山光泉寺の薬師堂にお参りし、寺務所で朱印を手形に押した後に各旅館の内湯を巡ることになります。

15軒の旅館とは山本館(若の湯)、松村屋(延寿の湯)、大坂屋(君子の湯)、益成屋(弁天の湯)、湯元館(薬師の湯)、ての字屋(玉すだれの湯)、奈良屋(お汲み上げの湯)、草津ホテル(さい泉の湯)、旅館たむら(永楽の湯)、群龍館(龍神の湯)、つつじ亭(うららの湯)、ひのき亭牧水(たぎちの湯)、日新館(安兵衛の湯)、望雲(万代の湯)、草津館(若乃湯)になります。

気をつけなければならないのは「内湯めぐり」はあくまでも和風村加盟旅館の宿泊者のみが利用できるという事です。

和風村以外の宿泊者あるいは日帰りの観光客は利用できませんので留意して下さい。

共同浴場

草津温泉では昔から地元住民が管理し入浴している共同浴場があります。

共同浴場には白旗の湯、千代の湯、地蔵の湯、関の湯、凪の湯、翁の湯、煮川の湯、長寿の湯、瑠璃の湯、白嶺の湯、千歳の湯、喜美の湯、長栄の湯、碧の湯、睦の湯、躑躅の湯、こぶしの湯、恵の湯、巽の湯の19カ所があります。

現在観光客でも入浴可能なのは白旗の湯、千代の湯、地蔵の湯の3カ所です。

いずれの3湯も源泉かけ流しの浴場で無料で利用できますが、地元住民が管理利用していますのでマナーをきちんと守りましょう。

草津温泉観光マップ

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