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南紀白浜温泉(和歌山県西牟婁郡白浜町)【歴史】

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日本三古湯の一つ「白浜温泉」

「白浜温泉」は和歌山県西牟婁郡白浜町の湯崎半島の海岸沿いに湧き出る7つの温泉で、「南紀白浜温泉」とも呼ばれます。南紀とは和歌山県の全域と三重県の一部の事です。7つの温泉とは「湯崎」、「大浦」、「古賀浦」、「綱不知」、「白浜」、「東白浜」、「新白浜」の各温泉を指し、「白浜温泉」とはこれら7つの温泉からなる温泉郷の事です。

飛鳥時代、奈良時代から利用されている千数百年の歴史を持つ温泉で、657年(斉明3年)には孝徳天皇の皇子である有間皇子が訪れた事がきっかけで後に天皇の行幸につながりました。有間皇子は「白浜温泉」の「崎の湯」に入浴されましたが、病も癒えて晴れ晴れした気持ちになったと温泉を大層気に入り、都で皆に勧めたといわれています。658年には皇子の勧めもあって斉明天皇が行幸し、690年に持統天皇、701年には文武天皇が行幸された記録が日本書紀にあります。「白浜温泉」は愛媛県の「道後温泉」と兵庫県の「有馬温泉」と並ぶ「日本三古湯」の一つとして知られています。

「白浜温泉」と「熊野詣」

「日本三古湯」の一つである「白浜温泉」は京都から近いという事で昔から利用されてきた事もありますが、「熊野詣」とは深い関わりがあります。平安時代には後白河法皇が34回も「熊野詣」を行っていますが、その際に度々「白浜温泉」を訪れたとされています。平安時代以降は後鳥羽上皇を筆頭に、宇多上皇や後鳥羽上皇も熊野詣を行い、皇族や貴族だけでなく庶民も参拝に訪れるようになりました。「熊野詣」をする際には温泉で身を清めてから参詣するといった事が行われたようです。「熊野詣」とは熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の熊野三山を参詣する事で、平安時代から鎌倉時代まで貴賎を問わず大勢が参詣に訪れました。大勢が一列となって参詣をする様子はさながら蟻の行列の様で、「蟻の熊野詣」と呼ばれるほどでした。

「崎の湯」

Onsen / by fabien

「南紀白浜温泉」には湯崎半島の海岸沿いに湧く7つの温泉がありますが、その中の一つ「湯崎温泉」には「湯崎七湯」と称する温泉があります。「湯崎七湯」の石碑には「崎の湯」、「屋形湯」、「阿波湯」、「疝気湯」、「元の湯」、「浜の湯」、「礦湯(まぶゆ)」と呼ばれる温泉が七湯であったと刻まれていますが、現存しているのは「崎の湯」のみとなっています。

「崎の湯」は西牟婁郡白浜町湯崎にある海岸近くの温泉で、浴槽から海までわずか10メートルほどになる波打ち際の天然露天風呂です。平安時代に斉明天皇が入湯した当時のままの浴槽で、自然湧出する温泉のまわりを掘り下げて湯船をつくり、小石を敷いただけの天然の露天風呂になっています。「崎の湯」は太平洋の雄大な景色と波しぶきを感じながら、天井もない大自然の中でゆったりと湯に浸かる事ができる名湯として、白浜温泉の代表的存在ともなっています。特に日没前の真っ赤に染まった海を眺めながら浸かる温泉は最高です。ちなみに、湯船があまりにも海に近いので波の高い日は入浴できません。シャンプーや石鹸の使用も禁止で、自然のままの温泉を楽しむ事になっています。

「牟婁の湯」

「牟婁の湯」は「崎の湯」と並ぶ白浜温泉の代表的温泉で、「日本書紀」や「万葉集」には「白浜温泉」は 「牟婁の湯」や「紀の温湯」の呼称で登場する歴史ある温泉です。「崎の湯」と同じく共同浴場として日帰りで気軽に利用できます。 「牟婁の湯」の最大の特徴は2つの源泉から引き湯をしており、1度に2種類の温泉を利用できる事です。番台を通り過ぎて浴室に入ると男女それぞれに2つの湯船がありますが、片方は「まぶ湯」、もう一方は「御幸湯(みゆきゆ)」と呼ばれる「崎の湯」と同じ源泉から引いた温泉です。2つの源泉の泉質が異なる事は一目瞭然で、「まぶ湯」が濃緑色のナトリウム塩化物泉ですが、「御幸湯」は無色透明のナトリウム塩化物炭酸水素塩泉です。

南紀白浜の日帰り温泉

歴史のある南紀白浜温泉ですが、気軽に立ち寄れる日帰り温泉が数多くあります。前述の崎の湯、牟婁の湯をはじめ、しらすな、白良湯、松乃湯、綱の湯、白浜温泉パーク草原の湯、長生の湯、とれとれの湯などがあります。

長生の湯は南紀白浜温泉のイメージとは異なり、温泉街から離れた緑に囲まれた静かな場所にあります。長生源泉と東谷源泉の2源泉から引き湯をしており、建物は昭和初期当時の倉庫の骨組みを使用しています。施設内では紀州の杉を使った内風呂や備長炭を浴槽内に敷き詰めた備長炭風呂など紀州ならではの造りがみられます。露天風呂は木々に囲まれた自然の中で、季節によって桜や紅葉などを愛でる事ができます。駐車場の横には無料の足湯があり、又駐車場の前には麺処「めん吉」で和歌山ラーメンを食べる事もできます。

しらすなは白良浜の海水浴場に隣接する水着のまま入れる温泉です。海岸沿いの開放的な露天風呂は100人は入浴できるプールの様な風呂で、牟婁の湯と同じくまぶ湯を泉源としています。水着着用なので男女問わず入浴でき、特に夕暮れの景色は最高です。白良湯はしらすなと同じく白良浜にある温泉で、2階の浴場からは白良浜と海が一望でき、夕暮れ時の景色は必見です。木造2階建ての建物は1階が無料休憩所で、2階が男女別の浴場となっています。

松乃湯は地元の瀬戸連合町内会が運営する地元民が良く利用する温泉です。建物はまるで地元の公民館の様な造りで観光客目当てではない感じですが、もちろん一般利用も可能です。シャワー、シャンプー、石鹸もないので地元民は入浴セットを持参していますが、石鹸等はフロントで購入する事もできます。

綱の湯は白浜桟橋の近くにある温泉で、平成20年にリニューアルオープンしました。こちらも地元の公衆浴場といった感じで、5~6人入れる内湯が男女別に一つのみのシンプルな温泉です。

南紀白浜温泉観光マップ

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