銀山川から湧き出る温泉
「銀山温泉」は文字通りかつて銀山として採掘がおこなわれた「延沢銀山」付近の銀山川に湧き出る山形県尾花沢市の温泉です。
山形県北東部の尾花沢市の銀山川の両岸には大正末期から昭和初期に建築された多層の洋風木造旅館が立ち並び、旅館前の石畳の歩道には近代的なガス灯が設置され、大正ロマンが漂う温泉街を形成しています。
日が沈んで夜間に温泉街を歩けば、ガス灯のと旅館から明かりが歴史情緒溢れる光景となり、まるで大正や昭和の時代を彷徨っているような雰囲気になります。
温泉街を流れる銀山川には白銀橋をはじめとする多く橋が架かっており、両岸を簡単に行き来できるようになっています。
泉質は含食塩硫化水素泉。1968年には国民保養温泉地に指定。NHK連続テレビ小説「おしん」の舞台としても知られています。
開湯の歴史
開湯は慶長年間(1614年)に延沢銀山の工夫達が偶然銀山川の中で温泉が湧出しているのを発見したのがはじまりです。
延沢銀山は康生2年(1456年)に儀賀市郎左衛門が発見し、長らく銀山としての開発が進んでいました。
寛永8年(1631年)頃には延沢銀山は最盛期を迎え、日本三大銀山にも数えられるようになりました。
寛永11年(1634年)には江戸幕府直営の御公儀山となり、元禄2年(1689年)に閉山されるまで銀鉱として繁栄しました。
最盛期には銀山のある尾花沢周辺は22万人以上の人口があったといわれています。
閉山後は人口が激減し、衰退の一途を辿りますが、湯治場としてわずかながらも人々が訪れるようになりました。
その後、大正2年(1913年)の大洪水で温泉街は被害を受け、多くの旅館が壊滅してしまいます。温泉の湧出量も減少し、長らく温泉街は衰退しますが、昭和元年(1926年)に新たな源泉が開発された事を契機に急速に復興が始まりました。
大正後期から昭和初期にかけて多くの旅館が洋風の多層木造構造に建て替えました。
旅館の外装には鏝で漆喰を塗って模様を描いた鏝絵が随所に見られ、道行く者の目を楽しませてくれます。
昭和61年には「銀山温泉家並保存条例」が制定され、歴史情緒あふれる温泉街の景観を維持しています。
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