東北地方

乳頭温泉郷(秋田県仙北市)【7温泉-鶴の湯、妙乃湯、黒湯、蟹場、孫六、大釜】

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乳頭山の麓に広がる温泉郷

「乳頭温泉郷」は秋田県東部中央の田沢湖北東の十和田八幡国立公園内の乳頭山の麓に広がる仙北市の温泉郷です。

仙北市は旧田沢町、旧角館町、旧西木村が合併して誕生した市です。

田沢湖の北東約20㎞、標高1,478mの乳頭山、別名烏帽子岳の麓に7つの温泉が点在しています。

乳頭山の麓、標高約千メートルほどの高地、ブナの原生林に囲まれた温泉郷はまさに秘湯です。

「鶴の湯温泉」、「妙乃湯温泉」、「黒湯温泉」、「蟹場温泉」、「孫六温泉」、「大釜温泉」の6つの温泉宿と「国民休暇村田沢湖」の7つの温泉を総称して「乳頭温泉郷」と呼んでいます。

ちなみに、乳頭温泉という名の温泉はなく、遠くから見ると乳の形をしているので乳頭山と名付けられた烏帽子岳の山麓に広がる温泉群を「乳頭温泉郷」と呼ぶわけです。

また、7つの温泉に加えて実はもう一つ「一本松」と呼ばれる温泉を含めて「乳頭温泉郷」と呼ぶ事もありますが、「一本松温泉」は現在は源泉が自噴しているだけで温泉宿はありません。

また、前述の7温泉の宿泊者は組合加入の7軒の宿の温泉全てに入浴できる「湯めぐり帖」を購入する事ができるので、自分達が泊まった宿の温泉に限らず、他の宿の温泉を立ち寄りで利用できるというわけです。

「湯めぐり帖」は1冊1,500円で販売しており、購入後1年間の有効期間があります。

鶴の湯温泉

「鶴の湯温泉」は「乳頭温泉郷」で最古の歴史があり、開湯は江戸時代にまで遡ります。

温泉の発見は江戸時代で、発見当初は「田沢の湯」と呼ばれていました。

猟師を意味する「マタギ」の勘助が傷ついた鶴が温泉で傷を癒していたのを見つけたのを契機に、鶴にちなんで「鶴の湯」と名付けられ、しばらくして湯治宿ができるようになりました。

当時は農民達が農閑期に疲れを癒す湯治場として営業していたようです。

寛永15年(1638年)には秋田藩主佐竹義隆が湯治に訪れ、「鶴の湯」に本陣が設けられました。

本陣は元は警護の者達の詰所として使用されたのですが、現在でもその茅葺屋根の本陣が残っていて登録有形文化財に指定されていますが、当時の風情そのままに宿泊もできる施設として利用されています。

現在、本陣は旅館「鶴の湯温泉」として営業していますが、非常に人気が高く予約は困難な宿として知られています。

「鶴の湯温泉」手前1.5㎞には別館の「山の宿」があり、こちらでも宿泊できます。

鶴の湯温泉
tsuru-no-yu / by katsuuu 44
鶴の湯温泉1
tsuru-no-yu / by katsuuu 44

黒湯温泉

「黒湯温泉」は「乳頭温泉郷」では「鶴の湯温泉」の次に古い歴史があり、江戸時代の延宝2年(1674年)に発見されたといわれています。

先達川上流の山奥深くに源泉が湧き、源泉が湧出する湯畑の傍に宿があります。

湯畑より木の枡を通して引き湯されて湯船に注がれています。

「黒湯温泉」とはいっても温泉の色は青みがかった乳白色で、硫黄臭が漂う単純硫化水素泉と酸性硫黄泉です。

泉質も特徴的ですが、「黒湯温泉」の名物は何といっても茅葺や杉皮葺の建物です。

温泉棟や旅館棟など温泉施設全体が黒塗りの茅葺・杉皮葺の集落を形成しています。

宿には食事付で宿泊できる旅館棟の他に、何日間もの滞在を想定した自炊棟もあり、自分達で食事を作って滞在費用を抑えて湯治をする事も可能です。

黒湯温泉
黒湯温泉 / photo by annintofu

孫六温泉

「孫六温泉」は「乳頭温泉郷」の「黒湯温泉」隣の徒歩5分ほどの地にあります。

明治35年(1902年)に孫六という者に先達川の川岸で発見されたと伝えられ、湯治場として利用されてきました。

「孫六温泉」の一軒宿には4種類の源泉があり、男女別内湯がある「唐子(からこ)の湯」、混浴の「石の湯」、混浴の露天風呂、女性専用の露天風呂があります。

内湯の温度は総じて48~49℃と高く、加水施設もないので長時間の入浴は大変ですが、露天風呂は外気に触れて雨も入る事から湯の温度はぬるめになっています。

蟹場温泉

「蟹場(がにば)温泉」は昔は付近の沢でたくさんの沢蟹がとれた事から名付けられた温泉です。

乳白色の温泉が多い「乳頭温泉郷」の中では珍しく無色透明の温泉で、泉質は単純硫化水素泉です。

開湯は弘化3年(1846年)で、宿から離れた場所にある原生林に囲まれた露天風呂「唐子の湯」が魅力です。

大釜温泉

「大釜温泉」は「蟹場温泉」と「妙乃湯温泉」の間の坂道にある乳頭山の麓にある温泉です。

廃校になった小学校の木材を移築して建てた「大釜温泉旅館」は一昔前の懐かしい田舎の小学校の中に戻ったかのような雰囲気です。

乳頭山の麓にあるという事で、乳頭山登山の客やスキー客も多数立ち寄ります。

旅館の入口には「乳頭温泉小学校大釜分校 大釜温泉旅館」と看板がありますが、実際に分校だったわけではなく冗談で掲示してあると思われます。

廃校の木材を使用した経緯についても掲示してあり、温泉だけではなく建物にも魅力満載です。

大釜温泉旅館
大釜温泉旅館 / photo by eeems

妙乃湯温泉

「妙乃湯」は先達川沿いの2つの源泉を持つ女性に人気の一軒宿です。

宿の内装や調度品、食器にもセンスの良さが光っており、歴史のある「乳頭温泉郷」の中でもとりわけお洒落な宿として知られています。

源泉はカルシウム・マグネシウム‐硫酸塩泉の「金の湯」と無色透明の単純泉の「銀の湯」の2つがあります。

IMG_3119 / by Fumiaki Yoshimatsu
乳頭溫泉妙乃湯 / by yuanchih chen

休暇村乳頭温泉郷

「休暇村乳頭温泉郷」は「乳頭温泉郷」の中でもとりわけ近代的な大型の宿泊施設で、以前は「休暇村田沢湖温泉」と呼ばれた国民休暇村の施設です。

休暇村には赤茶色の炭酸水素塩泉の「乳頭の湯」と乳白色の硫黄泉の「高原の湯」の2種類の天然温泉があります。

ブナ林に囲まれた露天風呂が魅力的で、冬には雪見露天風呂として違った景色を見る事ができます。

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