枕草子に登場する日本三名泉の一つ
「榊原温泉」は布引山脈の麓の湯ノ瀬川周辺に湧く三重県津市榊原町の温泉です。
清少納言の枕草子には「湯はななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯」と詠われており、日本三名泉の一つとして古くから知られてきました。
「ななくり(七栗)」とは榊原一帯の古くからの地名です。
開湯の時期ははっきりとはわかりませんが、1500年~2000年前の地殻変動によって貝石山の榊原断層から温泉が湧出したといわれており、大和時代には既に温泉が湧き出ていたと伝わっています。
古来より自然湧出する温泉の存在は神聖なものとして崇拝され、伊勢神宮への参詣者は「榊原温泉」で身を清める「湯ごり」をしてから赴くのが正式な参拝の作法となっていました。
京の都から伊賀、布引山を越えて榊原に着くと温泉で「湯ごり」をしたのです。
榊原温泉は「神の湯」「宮の湯」「ななくりの湯」
「榊原温泉」は神宮参拝の前に斎戒沐浴する神聖な温泉として地元では「宮の湯」と呼ばれ、延長5年(927年)に完成した延喜式神名帳には式内社として射山神社が記録されています。
射山神社は「榊原温泉」を護る神社として、御神体は射山(貝石山)、祭神は温泉大明神として知られる「大己貴命(おおなむちのみこと)」と「少産名命(すくなひこなのみこと)」を祀っています。
こうして「榊原温泉」は「神の湯」と呼ばれるようになり、地元では「宮の湯」、そして当時は榊原の地が七栗と呼ばれていた事から「ななくりの湯」とも呼ばれていました。
コメント