下呂温泉(岐阜県下呂市)

日本三名泉

岐阜県下呂市の「下呂温泉」は飛騨山脈の山々に囲まれた飛騨川の河原付近で湧出するアルカリ性単純温泉で、江戸時代の儒学者林羅山による日本三名泉の一つに数えられています。江戸幕府の徳川将軍に4代仕えた儒学者である林羅山は詩文集にて「草津温泉」、「有馬温泉」と「湯島(下呂)温泉」を天下の三名泉と記しています。しかし、実際には林羅山が三名泉を挙げる前に京都五山の僧万里集九が詩文集「梅花無尽蔵」にて既に草津、有馬、湯島(下呂)を三名泉として紹介しています。林羅山は万里集九の追認をしたというわけですが、一般的には林羅山が唱えた「日本三名泉」として取り上げられる事が多いです。下呂温泉街にある白鷺橋の上には林羅山の銅像が建ててあり、羅山の功績を讃えています。天下の三名泉として名を広めた湯島(下呂)温泉は全国から湯治客が訪れるようになり、江戸時代には年間3万人近くもの人々が湯治に訪れたといわれています。


DSCN2525 / Tamago Moffle

 

下呂温泉の由来

「下呂温泉」の「下呂」は宝亀7年(776年)に美濃国菅田駅と美濃国大野郡伴有駅の間に作られた「下留駅(しもどまりえき)」に由来しています。菅田駅とは現在の下呂市金山町菅田で伴有駅とは現在の萩原町上呂ですが、両駅の距離が相当離れていた為に新たに「下留駅」が設けられました。ちなみに当時の駅とは電車の駅ではなくて、昔の律令制度の馬を乗り継ぐ為の宿場駅です。各駅に馬を配置して伝令制度や早馬の利用に活用していました。そうした宿場駅の「下留駅」が次第に「げる」と呼ばれるようになり、最終的に「げろ」と呼ばれて「下呂」と表記されるようになりました。


Gero Onsen, Hot Spring at Gifu prifesture in Japan; 下呂温泉 / Conveyor belt sushi

 

湯之島温泉


Onsenji / the.Firebottle

「下呂温泉」という名前は昭和以降に使われ始めたもので、実はそれ以前には「湯之島温泉」と呼ばれていました。万里集九と林羅山の詩文集にも「下呂」ではなく、「湯之島」と紹介されています。「湯之島」が何故「下呂」に変わったのかは実は源泉の場所が変わったからです。現在の「下呂温泉」から東南方向に約4kmの所に湯ヶ峰という標高1,067mの山があり、この山頂付近にて温泉が湧き出ていました。湯ヶ峰は10万年前に噴火したとされており、その影響で温泉が湧き出たといわれています。温泉が発見されたのは平安時代の延喜年間(901~923)又は天暦年間(947~957)との記録があり、当時は標高千メートル余りの湯ヶ峰山頂付近まで登って温泉に浸かっていたと考えられます。現在でも湯ヶ峰の山中にて当時の湯が湧き出た跡を見る事ができます。戦国時代の天正6年(1578年)春には織田信長が家臣の前田利家や羽柴秀吉を引き連れて湯治に訪れたという記録もあります。後に大地震があって湯ヶ峰からの温泉の湧出は止まってしまいましたが、文永2年(1265年)に現在の下呂温泉街付近の飛騨川の河原にて新たな源泉が見つかりました。新源泉は白鷺に姿を変えた薬師如来が教えてくれたとの伝説があり、下呂市湯之島の中根山には薬師如来を祀った温泉寺があります。

 

「噴泉池(ふんせんち)」

「下呂温泉」のシンボルともいえる無料の露天風呂が飛騨川の河原の下呂大橋の近くにある「噴泉池」です。「噴泉池」は昔から無料の野外共同浴場として利用されてきました。温泉街の中心地域ともいえる飛騨川の河原にある露天風呂で、男女問わず誰でも無料で利用できます。周囲より丸見えなのでさすがに恥ずかしいのですが、川のせせらぎを聞きながら飛騨山脈の大自然に囲まれながらゆったりと浸かる温泉は格別です。現在は水着着用が義務付けられていて利用しやすくはなっていますが、さすがに開放的過ぎて躊躇してしまうかもしれません。そんな時には有料ですが立ち寄り湯可能な温泉や無料の足湯を利用するのもお奨めです。

 

湯めぐり手形

下呂温泉ではいろんな旅館やホテルの温泉を楽しむことができる共通入浴券の「湯めぐり手形」を販売しています。「湯めぐり手形」は単なる券ではなく将棋の駒の様な形で「湯名人 湯めぐり手形」と表示されており、裏には「湯」「名」「人」という3枚のシールが付いています。この手形を1枚1,300円で購入すれば、3枚のシールを使って3カ所の温泉に入浴できるというわけです。子供連れの場合は1カ所で複数枚使用する事も可能です。有効期限が6ヶ月あるので、1回の旅行で使い切れなくても、再度来た時に使用する事もできます。入浴できるのは手形加盟旅館・ホテルの24軒ですが、各施設の営業時間は様々ですから確認が必要です。手形加盟旅館・ホテルは湯之島館、水明館、望川館、下呂観光ホテル、下呂温泉山形屋、小川屋、下呂ロイヤルホテル雅亭、川上屋花水亭、菊半旅館、紗々羅、吉泉館竹翠亭、水鳳園、寿々波、奥田屋八峰苑、みやこ、木曽屋、冨岳、下呂彩朝楽別館、みのり荘、いずみ荘、睦館、神明山荘、ひだ山荘、白鷺の湯です。手形は一部の加盟旅館、土産品店、コンビニ、ドライブイン、観光案内所、旅行会社等で販売されています。

 

下呂温泉合掌村

下呂温泉合掌村は白川郷や五箇山から国指定重要文化財「旧大戸家住宅」など10棟の合掌造りの家を移築して昔の集落を再現した博物館です。日本初の常設影絵昔話館「しらさぎ座」、昔の農具や民具などを展示した民俗資料館、和紙の絵付け体験や陶芸体験ができる体験工房、食事処合掌茶屋、桜と紅葉の里山「歳時記の森」、竹原文楽記念館、円空館などがあります。下呂温泉で最大規模の観光施設で、平成19年には入場者数が1千万人を突破しています。

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